Tomoo Gokita





嫌気が差すことがあっても突然海外逃亡というのはなかなか……
僕はそういうところで馬鹿みたいな決断力があるんですよね。グラフィックデザインに関しても同様で、急に嫌になってやめちゃった。当時はジェリー鵜飼っていう相棒とチームを組んで、ファッション広告の仕事をやったりアートディレクションなんかも始めて。好調になってきた時に「デザインの仕事はもう面倒くさくて嫌だから、俺はやめるわ」って突然宣言して。イラストもやめて、デザインもやめて、自分でも何がやりたいのかよくわかんないグチャグチャの状態になっちゃったんです。
混迷の時代ですね。
CD のデザインやイラストの仕事も知り合いからの依頼だけはたまに受けていましたけど、まだ実家暮らしだったし、肩書きもよくわからないまま、何者でもない時代ですよ。この『ジャップ』って雑誌の連載もその頃の案件ですね。絵日記みたいなものをとにかく毎日描いて、それを編集部に提出すると勝手に抜粋されたページがそのまま雑誌に掲載されるという。特殊なルールに沿って全部ローマ字表記しないとならなくて、「じゃ」は「JA」じゃなくて「JYA」にしないといけないとか、やたらと細かくて面倒くさい。それにプライベートのことを描いているから結構恥ずかしいんですけどね。