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K-Lone

こうして原稿をまとめている今も K-LONE の『Cape Cira』を聴いている。このアルバムを初めて聴いた時は、潤いに満ちた音の粒、それらの重なりや連なりが繊細に交差して広がる鮮明なサウンドスケープに魅せられて、こだわり抜いて緻密に作り込まれた作品という印象を抱いた。だから彼がさらりと述べた「あまりこだわらずに素早く作曲した」という言葉には意表を突かれてしまった。しかしまた、シリアスな音の中にある心地よい軽やかさの要因の一端に触れた気もした。彼の作品を初期のものから辿っていくと、一貫した系譜を感じながら多彩な変容性にも驚かされる。けれどそれはいくら言葉を重ねても伝え尽くせないので、ここで共有するリンクから実際に聴いてみてほしい。するときっと、彼の音楽をライヴで味わいたくなるはずだ。言うまでもなく私もその一人。いつか夏の夕暮れの野外で、できれば彼の言及どおり至極のサウンドシステムに囲まれて、彼の音に身を委ねられたなら、それは夢のような時間になるだろう。