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Susumu Mukai

オーディオコールで聞こえてきた彼の声は、想像よりも遥かにしっとりと穏やかで、思わずこちらがうわずってしまうほどだった。声の主はアーティストでありミュージシャンの Zongamin こと向井勧。本人の意向なのか、あまりメディアに登場することのない彼はうっすらと淡いベールに包まれている。そのイラストレーション作品もまた神秘的な謎を孕み、しかし、一般的な SF やパレオアートとは趣の異なる不可思議な具体性とファンタジーが共存し、それが糸口となって想像の物語を広げる。そして音楽。トラックメイカーとしての才能に加えて、バンドセッションでの彼は涼しげな面持ちで生命的なグルーヴを刻む。いずれのサウンドからもイラストレーションと奥底で通じる世界を感じて、それを探究しようとインタビューに臨んだが、彼はぽつりぽつりと多くは語らず、結果的に深まったのは理解なのか謎なのか。どちらにせよ、どこかで彼を「奇才」と評していたが、その形容がこれほどぴたりとくるアーティストはそう多くはないはずだ。