写真に “映る” ものは何か。シャッターを切る瞬間レンズ越しにあるものは原則として必ず写真に収まる。けれど、岡原功祐の写真作品を見つめていると、被写体の表情の奥に潜む感情やざわめき、また深い漆黒の影の中にすら重力や熱量のようなものが感じられて、それらをしっかり受け止めようと視覚以上の知覚が働きだす。どうすればそんな写真を撮れるのだろうか、素直に抱いた疑問であったが、彼の話を聞くにつれ愚問だったと思い知らされた。そもそも彼は「どう撮るか」という考えを持たない。企てると現れてはくれない、けれどもこの世に散在している純粋なサプライズやおぼろげなマジックと、彼は写真を通して出会いたいのだ。そしてそのために「ただ正直でありたい」という。これまでの変遷に加えて、今思うありのままを気負いもなく語る彼の人間味に、こういう人物だからあの写真を撮れるのかと、理屈ではないところですとんと腑に落ちた。