この取材で自身の変遷を「曲と曲を繋ぐように滑らかに移行していきたい」と音楽に例えて語った Hassan Rahim。そして彼は気の利いたアイデアと共に、この誌面のために趣のあるミックスを共有してくれた。良質なミックスの心地良いフロウや、スピーカーからの最適な出音は、素材となる楽曲の選曲に加えて音量やテンポの緻密繊細な調整によって成り立つが、彼の作品にもそれと同じことが言えるのではないか。彼のミックスを聴きながらそんなことを思った。彼はどのプロジェクトでもひとつひとつを自らの作品として捉え、自分の感覚を忠実に表現するために何が心に作用するのかを正直に探究し、細やかな選択と調整を幾重にも重ねている。だからこそ感情や雰囲気の機微が作品に内在し、それが生々しくアブストラクトな質感となって表れているのだろう。簡潔に思えるここでの回答も、じっくり読んでいくと、彼が自身の意識を探り、彼らしい言葉で丁寧に抽出してくれたことが感じられる。