Alexandra Kehayoglou の作品をインターネット越しに初めて目にした時は、こんなにも美しく表情豊かなカーペットを家に置けたら庭を持つようで素敵だろうと、今思えば短絡な感想を抱いた。それが数年前のことで、以来ずっと彼女への取材を望んでいた。そして念願が叶った今回、改めて彼女の近作を見てみると、カーペットの概念を超越し、進化という言葉では足りない次元のものを感じた。まるで本物の自然のように気迫と情感に満ちている。彼女の作品から発せられるそうした凄まじいエナジーは、単に作品のスケールや緻密さ故のみではない。膨大なリサーチを含めた創作の過程で絶えず込められた深い想いや祈りが作品に魂を与え、それが見る者の心に届くのではないだろうか。そして、時間をかけて記してくれたここでの回答からも、独特な言葉選びや詩的な言い回しに彼女の作品と似た生命力を感じずにはいられなかった。
　来日を期待しているという彼女、その作品のエナジーに直接触れられる日を今から心待ちにしている。