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Alexandra Kehayoglou
カーペットが自身の創作の対象となるのは必然であったと感じていますか?
いいえ、カーペットは必然の選択ではありません。それに私はタペストリーやカーペットを創作する芸術家であり、テキスタイルアーティスト、画家、そして彫刻家です。私は画家としての教育を受け、彫刻やその技術にも長けていて、手作業を好み、ペインティングやドローイングも好きで、色や遠近法にも高い関心があります。私たちがスタジオで創作する全ての作品は、何時間にも及ぶドローイングやプラン設計、色の選定を経て作られています。また技術的な挑戦にも取り組み、カーペットで覆われたシューズボートや、岩や木といった立体的なカーペットのオブジェクトを手がけるなど、カーペット制作の限界を押し広げるプロジェクトにも挑みました。
 アーティストは他の何であってもできるのだという意識を常に抱いています。もちろんあくまでもアーティストという立場で。カーペットを手がけるようになったのは身近な素材だったからです。利用可能なリソースやそれを用いる機会があったこと、それが関連しているのだと思います。
ご家族の工場の余剰糸を用いてアート作品としてのカーペットやタペストリーを創作するというアイデアは、どのような経緯で生まれたのでしょうか。
家族の工場で試作を始めましたのは10年以上前のこと。工場の余剰在庫の羊毛を使って何かを作ってみたらどうかと父に勧められたのです。美術学校を卒業した私は、この素材を作品に取り入れたいと強い衝動に駆られました。また、心の奥底にある何かが私にそうさせるべく引き寄せたのかもしれません。しかし最近では状況が変わって、もう父の工場ではないので、残念ながらこの工場の余剰糸は使っていません。