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Alexandra Kehayoglou
最初に創作したカーペット作品はどのようなテーマもしくは内容でしたか?
カーペットを使った最初の作品は、羊毛で作られた房状の牛革のシリーズ『Troqueles Vaca』です。アルゼンチンでカーペットに用いられる牛革と、それが持つ全ての意味合い、つまり死や動物の皮膚に対する残酷な扱いなどに触れた作品です。ウールカーペットを作るのに動物を殺すことはありません。それが私には重要なメッセージでした。死んだ動物に似せたカーペットを、その過程で殺す必要のない別の動物の毛を使って作るという、その曖昧なコンセプトに興味を抱きました。
 当時はさほど苦しむこともなく、今のように考えざるを得ない状況での創作は多くなかったので、気持ちはまだ軽やかでした。また、牛はアルゼンチン的な動物の象徴として語られますが、実際は在来種ではありません。そして、これ以降多くの疑問を自分に投げかけるようになりました。
あなたの創作現場を捉えた動画を拝見したところ、手作業でかなりの時間も労力も要することが感じられました。カーペット作品を創作する際のアプローチやプロセスを教えてください。
手作業では創作の過程だけでなく色の選定やプラン設定、カッティングや細部の詰めに至るまで多くの時間を要します。また、展覧会の企画や特別委託の案件では、創作だけでなく説明にも苦労します。織物には時間がかかるのですが、今は迅速さを求められるプロジェクトもあります。
 けれど大規模なプロジェクトほど研究やドローイング、技術的な問題の解決に労力を費やし、さらに作品ごとに新たな課題に挑まなければなりません。私の作品は全てがハンドメイドなので迅速化は難しく、世の中に急かされているように感じます。大規模な作品に取り組むには 1 年では短すぎます。また、もう 1 つの課題として重量と輸送が挙げられます。カーペット作品は非常に重くなるのですが、それらを移動させて仕上げ、さらに巻いてから輸送しなければなりません。
 それでも、プロジェクトごとに新たな手法を模索し、作品のアイデアをテキスタイルに投影する方法を見いだすことが私はとても大好きです。