光が、音もなく消えていく。
それは目の奥に焼きつくでも、記憶の底に沈むでもなく、そこに “あった” というだけの感覚。
『Luminant Point Arrays』を初めて目にした時、それが何であるのかはわからなかった。ただ、あまりに鮮烈だった。色彩、リズム、質感、有機的でアナログな揺らぎをはらんだグラフィック。そしてそれが、古いブラウン管テレビが消える瞬間を捉えた写真だと知った時、その一瞬の不可思議さは、かえって忘れがたいものになった。
いまやブラウン管という存在さえ、現実から少しずつ遠ざかっている。10年以上前に生まれたこのシリーズは、ある意味で「消えるもの」そのものの記録だ。それは、もう触れることのできない一瞬の気配を、静かに写し取っている。