| English | Japanese |
Koshiro Kihara




Koshiro Kihara
Interview (2024)
 




まずはバックグラウンドから伺っていきたいのですが、子供の頃から絵を描くことは好きでしたか。
そうですね。僕には健志郎という双子の弟がいて、彼も現在は画家で、小さい時から外で遊ぶよりも 2 人揃って家で絵を描いているほうが好きでした。
日頃からアートに触れる機会のある環境でしたか。
いえ、身内に芸術関係者はいませんし、文学や美術館巡りなどが好きな叔父さんはいたけど、彼から直接的な影響を受けたわけでもなく、健志郎と 2 人でただ絵を描くのが好きだったというだけで。アートが身近にあるような環境ではなかったですね。
音楽や映画など、夢中になったカルチャーはありますか。
子供の頃は仮面ライダーが好きでした。リアルタイムの仮面ライダーに限らず、初代や70年代の仮面ライダーもよく見ていました。叔父さんや叔母さんがちょうどその世代の人で、当時の仮面ライダーの DVD をよく借りてきてくれたので、その影響で。小さい頃に夢中になったものといえば、絵を描くこと以外だとそれぐらいです。
アートの存在に気づいたのはいつ頃でしたか。
気づいたというか、本格的に美術の方向へ進もうと思ったのは高校 1 年の時とか。でも、アーティストというよりは美術の先生になりたくて、美術専攻のある教育系の大学を志望していました。そうすれば教員免許を取って、絵を描き続けることができると思ったので。その受験のためにデッサンの勉強を始めたので、美術を意識するようになったのはその頃ですかね。
そこからアーティストを目指すに至ったきっかけは?
大学に入った当初は高校の頃と同じく美術教員を目指していて、だけど大学の先生と接しているうちに「大学教員っていいな」と思い始めて。美術の先生よりも専門的な研究職というか。日中も絵を描いていられるし、すごく楽しそうだなって。そこから徐々に「アーティストになりたい」という思いが強くなっていった感じです。
その後、美術の学びを深めて、作家として自身の作品を創作して発表し、それが流通するようになって、そうした経緯の中で「アーティストとは何か」という認識にどんな変化がありましたか。
いろいろとありますが、大きなことで言えば、作品はコミュニケーションのひとつだと思うようになりました。今自分が制作している作品のコンセプトはすごく個人的なもので、作品では自分が面白いと思うものだけを表現している。だから「ほとんどの人にはわからなくてもいい」と思っているけど、一方で、「どこか共感してほしい」という思いも現れてきて。さらに言えば、僕にとってその共感を求める対象の大半が健志郎なんです。彼に「いい」と思ってもらいたいし、共感してもらいたいという気持ちがかなり大きい。健志郎とは昔からすごく仲が良かったけど、 2 人ともアーティストになってからは特に彼からの共感を得ることが拠りどころとなっています。
自分はアーティストだと実感したタイミングは?
今は健志郎と共有するアトリエでほとんどの時間を過ごしていて、制作して、食べて、寝て、起きてまた制作をするという日々を送っています。そうした生活がアーティストとしてのひとつの夢だったので、展覧会や個展をできた時はもちろん嬉しかったですけど、一番実感するのは普段の生活ですね。