古着や廃品を素材に用いて作品として再構築するというそもそものアイデアはどのように生まれたのですか?
若いデザイナーだった私には限られた資源と資金しかありませんでした。勉強も兼ねていたし、新しいものを切り刻むよりも、古着や端切れを活用するほうが合理的だったのです。それは今も変わっていません。
工業デザインやファッションデザインを専門的に学んだことはなく独学だそうですが、縫製やプロダクトデザインのスキルはどのように習得したのですか?
最初のうちはホチキスで留めたり糊づけしていましたが、ある種の美学を自分の作品で確立するためには、もっとできることがあるはずだと思ったのです。そこで、縫製を独学で習得して、「何をすべきか」「何をすべきでないか」をひとつひとつのプロジェクトから学んでいきました。それに、創作過程で分解した全てのパーツがプロダクトデザインや素材構造、製造技術について教えてくれました。
アイデアがあっても技術不足で形にできないもどかしさを感じたことはありますか?
特定の方法でなければ形にできないと思い込んで、アイデアを実現しきれないことに歯痒さを抱えている人は多いと思います。けれど、どんな方法を選んでどんな手段を使ったとしても創造は可能なのだと、私は身を以って学びました。まずは最初の一歩を踏み出し、それから考えていけばいいのです。
独学だからこそ確立できたアーティストとしての視点があるとすれば、それはどのようなものでしょうか?
それは、挑戦すれば誰でも作れるということ。つまり、トレーニングが必要だという偏見は捨て去って、失敗を受け入れることで成長に繋がるのだと理解することです。そうすればその過程で、自分をより良い方向へ導いてくれる出会いがあるはずです。
Reebok を離れて創作活動に専念する、その決意に至った理由を教えてください。
当初は自由時間だけを使って取り組んでいたことが徐々に広がっていき、フリーランスになればもっと多くのことをやれるのではないかと気づいたんです。経済的な安定を捨てて自分の創作を選んだことは、必ずしも簡単な決断ではありませんでした。迷いもありましたが、幸いにもうまくいっています。