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Ben Vida





あなたの音楽に初めて触れたのは、『esstends-esstends-esstends』(2012) に収録された「Zizzlerz」でした。抽象的でありながら旋律的で、親しみやすさを感じました。こうした  “音の親密さ”  は意図的に取り入れたものでしたか。また、抽象的な構成のなかでメロディや感情的な要素をどう位置づけていますか。
これはおそらく、Morton Feldman の音楽が好きだということに尽きると思います。彼は、ハーモニーに複雑さや不協和を織り込みながらも、美しさは決して手放さない作曲ができる人でした。真の実験的な音楽にはハーモニーやメロディの決まった型などありません。音楽の表層だけを見てスタイルやジャンルを判断するのは簡単だけど、それはとても限定的で、むしろ保守的な音楽観です。音楽というのは、抽象を通して感情を呼び起こすことに非常に長けています。それは、このメディアが持つ最大の魅力のひとつかもしれないのに、そんな力をわざわざ避ける理由はありません。