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Alexandra Kehayoglou



『Santa Cruz River』や『No Longer Creek』ではアルゼンチンの消えゆく自然を表現しています。アルゼンチンの原風景を表現する際に留意していることを教えてください。
私が住んでいる国では、農業や養殖、鉱業など、天然資源の開発が当然のように行なわれています。政府は土地の利用を、国を再び偉大なものにするための手段と捉えています。アルゼンチンは『el granero del mundo』(世界の納屋) でした。そしてその視点が制度化されています。私は土地にまつわるこうした創作を通じて、原住民であるテフエルチェ族やマプチェ族のコミュニティとの繋がりを持つことができました。これらのコミュニティは国とは異なる土地との関わり方をしてきました。つまり、土地を大切にし、土地との関係を育んでいるのです。皮肉なことに、彼らは自然の利用を反対しているためテロリストのような扱いを受けています。
 カーペットは証言であり、織物は人類のかつての暮らしぶりを教えてくれます。川が消えゆくのであれば、その破壊は目前に迫っています。私はそれを再現するカーペットを作りたかった。そして、パタゴニアの最後の自由な流れであるサンタクルス川の堰き止めを体感してもらい、ダム建設という腐敗と破壊の行為が私にもたらす感覚を提供し、その感情の一端を保存すること、それが私の課題でした。この作品は、もはや消えてしまいそうな場所を記録したものです。しかし、この作品を織ることでそれは祈りに変わり、ステッチが川を進むたびに絶えず繰り返されるマントラになりました。


Alexandra Kehayoglou working at the Santa Cruz project
 
 

 
 この10年間、私は主にアルゼンチンの消えゆく土地やエコサイドを描いてきました。遺伝子組み換え農法の進行に伴い消滅しつつある生態系、パンパ・パスチャレスを表現した作品を何百点も制作しました。また、パタゴニアで建設中の 2 つの水力発電ダムのように、規制に反して川の流れを止めてしまう特定のエコサイドについても深く掘り下げました。
 アルゼンチンのプロジェクトに取り組むといつも、政治と混同して風景を私有の商品として利用するような腐敗した状況に直面します。意図的に探っているわけではないのですが、そうしたケースばかりなので、政治的な確執には注意を払うようにしています。