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Ben Vida





2019年の作品『Reducing The Tempo To Zero』では、テンポをゼロに近づけるというアイデアを探求しています。このコンセプトはどんな問いから生まれ、あなたのリスニングのアプローチにどのような影響を与えましたか。
『RTTTZ』を制作し始めた理由はまさにそこにあります。インターネットやデジタルの速度的な時間感覚から離れ、自分をスローダウンさせる日常的なプロジェクトを設けたかった。これは音楽的な実践であると同時に、メンタルヘルスのための実践でもあった。そして、ドローン音楽に取り組むことで得られる、音の細部に深く耳を澄ます感覚に強く惹かれていました。僕の経験では、このようなリスニングの方法は、ある程度の長い時間をかけて初めて機能し始めます。じっくりと音のなかに身を置くことで、少しずつその音の全貌が立ち上がってくるのであって、それを急ぐことはできません。そして、その  “減速”  と  “深いリスニング”  の瞬間が訪れると、不思議なほど心地よさが広がります。
 オリジナルの『RTTTZ』は 4 部構成ですが、今は新たに次の 4 セクション (Part 5〜8) の制作に取り組んでいます。あの精神状態に戻る必要を感じているからかもしれません。おそらくこのプロジェクトには何度も立ち戻ることになると思います。こうした作品との関わりを確認し、年月を経て自分の聴き方がどう変化したのかを確かめるために。途中で距離を置くことは大切で、一度離れることで、戻ってきたときにより鮮明に感じることができるんです。