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DJ Kensei



  80年代から90年代はずっと DJ に明け暮れていたけど、2000年に差し掛かった頃に「このまま DJ を続けていくのかな」「純粋に楽しめる状況や環境もないと進めないんじゃないか」という思いがぼんやりと現れて。そこから「クラブだけじゃなくて、違う環境でも DJ はできるのか」「こういう音をかけられる場所はないか」みたいなことを常に考えていました。そんな時期に、ランタ島を紹介してくれたコリアンの友人から「『Omlette Dub』というビーチバーを作るから」と誘われたんです。
そこでは毎日 DJ を?
そのビーチバーで DJ しながら 1 ヶ月ほど滞在していました。当時のランタ島はまだ資本がほとんど入っていない、いくつかのホテルとちょっとした集落に地元の商店があるくらいの島。『Omlette Dub』は半分屋外のようなスペースで、目の前はビーチ。『OM-LETTE DUB』という Mix のインスピレーションになったのもこの場所です。




Outerlimits Inc.presents DJ KeNsEi in OM-Lette Dub
Cold Chillin' In The Spot Side
DJ KeNsEi

(XAOM-0002)
KSR
2003




日本から Sound Channel の TAIYO が来たり、バンコクで何十年も DJ やっているニッキーとか、Goro さんや BetaLand とか、ドイツやイギリスから来た DJ と一緒に回したり、バックパッカーやツーリストも多くて、多国籍無国籍 (笑)
 毎日島を探索して、海や夕日を見ながら音を流して、なんとなくグルーヴを作ることもあれば、ちょっとだけテンションを操る日があったり、ただただそこにハマる好きな曲をかけるだけだったり。 DJ が誰かなんてみんなさほど気にしていない状況だから、「気持ちのいい環境にはどういう音が合うのか」とか「感情に対して何がフィールするのか」とか、いろいろ試していました。そこで出会った曲だったり、そこにいた人たちと共有した曲だったり、とにかくその時の自分が素直に気持ちいいと思う音をあるものの中からチョイスして。バンコクのカオサンに行ってブート CD とかたくさん買って来たり(笑)。東京のクラブでかけてるものとかかけることはできただろうけど、結局そのやり方だけだとその場にはハマらないって感じました。 DJ としてすごくいい経験になったし、幅も広がって、なにより新たな気づきが多かった。影絵を見に行った時に出会った伝統音楽のモーラムを気に入って、それを録音してビートを作ったり、島のさまざまな音のフィールドレコーディングもしましたね。自然の音だけじゃなくてヘビ笛やムエタイの楽器を録音したり、バーの雑踏で他人の会話を隠し録りして、そのムードを音楽に被せてみたりとか。時間があったからちょっとした思いつきを自由に試すことができた。
 ただ、都会から行っているから現地の時間軸に慣れるまで不安もあった気がするけど。