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Sarah Martinon



反復性や永続性が要求されるパターンデザインにおいて有機的なドローイングを落とし込むことに困難はないですか? また、こうしたパターンを制作する際のアプローチやプロセスを教えてください。
私にはとても自然なことです。確かに最初の段階はいつも手描きのドローイングから始めますが、そこからは手描きもデジタルも全く同じ方法で進めています。リファレンスやストーリーがなければインスピレーションは広がらないので、全くのゼロから始めることはありません。それは自然や時間、伝説や映画、場所など何でも構わないのですが、その雰囲気に浸り、文脈を理解し、背景を取り込むことで、頭の中にあるストーリーを語り始める、それが私のやり方です。そのストーリーがどこへ向かっているのか、また正確な結末が見えないままの時もあるし、場合によっては構図のためにいくつもの断片を描いて、後からコラージュのように組み立てる時もあります。それらはキャラクターみたいなもので、前側に配置してみたり、他のキャラクターの後ろに隠してみたり、意図した配置に辿り着くまでドローイングを何層にも重ねていく感じです。書籍デザインや他のデザインにおいても全く同じ方法で取り組んでいます。制作過程の途中で自分を見失ってしまい、最初のドローイングに全ての意図が含まれていたと気づくこともあって、その場合は最初に思いついたアイデア、つまりスケッチやトライアルをそのまま採用することも頻繁にあります。
独特なカラーリングも印象的ですが、その色彩感覚はどのように養われたのでしょう? また、色遣いによって作品の印象は大きく変わると思いますが、色を選定する際に重視していることは何ですか?
私はまさに色彩の虜なんです。子供の頃、夜になって目を強く押すとパープルやピンク、ブルーなど万華鏡のような色彩が光って見えたので、よくやっていました。幻影的で不穏な色彩にずっと惹かれていて、Mario Bava の 『Sei donne per l’assassino (モデル連続殺人!)』や Dario Argento の 『サスペリア』 『インフェルノ』 といったファンタジー映画で見るような、科学的だったりキッチュなイメージです。私自身、身体的にも色による影響を受けるので、特定の色の組み合わせの不可思議さやバランスによって見る人の目を引き、リアクションを誘うなど、色の配置でそうした効果を試みています。それから私にはテクスチャもとても重要で、特に厚く、型押しされた紙、引っ掻かれたような生地、槌目のシルク、重厚な素材、グリッターなどが大好き。起伏や細かな孔は生きているかのようにそこに何かを隠せるから、多くの意味を持たせることができるのです。 Bret Easton Ellis が『Lunar Park』で書いた「壁は剥がれ、カーペットは時間の経過と共に色を変えている」という妻の家に関する記述みたいに。美術館の絵や壁紙、絵本の中に入りたいと思っていた子供の時のあのフィーリングを再現すること、それが私の究極の目標であり、そこが私の住みたかった場所。あの木やあの壁の後ろで何が起きているのか、それをどうしても知りたかったのです。まるで映画『アリス・イン・ワンダーランド』のようですね。
今後の予定、また、挑戦したいことや将来の展望を聞かせてください。
まさに今が私のターニングポイントです。多くのプロジェクトが終了して、今は経験したことのないメディアを含めた多くの新しいプロジェクトの始動段階にいて、すごくワクワクしています。それに新しい場所にも引っ越したばかりなので、真っ白なページみたいです。そこには大胆な色彩でフレスコ画を描きたいですね。