2018年発表の『What if all is』ではタペストリーによってパタゴニアの洞窟を空間として作り上げ、写真で拝見しましたが圧巻でした。この作品に取り組むにあたってどのようなリサーチや準備をしましたか?私はまず洞窟へ向かいました。パートナーと息子を連れてサンタクルズへ行き、実際に洞窟を訪れて記録を取ったのです。そして、いまだ未解決の何らかの理由で部族が集まっていたという、パタゴニアの遠く離れたその場所に到着したことを実感しました。その洞窟は「La cueva de las Manos
それから意を決して洞窟へ入りました。父は ALS の初期段階にあり、私は娘を妊娠していて、この全てが私の中の巨大な洞窟のようで、どうにかして明らかにすべきだと感じました。そうして『What if all is』が生まれたのです。幸運なことにキュレーターの Danilo Eccher からの提案を受けてこの挑戦的な作品に臨むことになり、当初はあまりに困難で不可能だと思っていましたが、なんとか取りかかり始めることができました。
この作品はとても大きくて複雑です。洞窟なので、ローマの Chiostro にあるブランマテの階段に設営しました。さまざまな風景やテクスチャ、色彩があり、記憶、岩絵、パタゴニアから消えた部族についての物語に触れています。あらゆる意味でこの作品はそれまでの自分を超える限界に挑んだもので、オープニングから数ヶ月後に改めて訪れましたが、強く感じるものがありました。
今後さらに挑戦してみたいこと、取り組んでいきたいことを教えてください。私は不公平感や、人々と自然の関わり方に誘発されることが多いです。また、世界や現実を変えたいという隠れた目的が私にはあって、共有すべきメッセージや自然界からの呼びかけに応じて創作をしています。そして、ある状況に光を当てようと常に試みています。
現在は魅力的な新しいプロジェクトに着手しています。実は今、ギリシャの伝統的な織り方を学ぶためにクレタ島に来ていて、レシムノンのアギア・イリーニ修道院に滞在しています。修道女たちに歓迎を受けて共に仕事をし、昔ながらの織り機の使い方を学びました。この新たな船出は、私の家族の歴史、1922年に戦争のためにイスパルタを離れざるを得なかった祖父母が背負ってきたカルマ、そして祖母 Elpiniki の情熱を追うためにここへ戻ってきた私にとって、多くの意味で興味深いのです。彼女はギリシャからアルゼンチンへ向かう船に織り機を積んでいました。私は 100年後の今、アルゼンチンからギリシャへ来て、その旅で失われた伝統を受け入れようとしています。この新しい探究が私にとっては未来の全てです。
それから、日本へも行ってみたいですね。一度も訪日したことはないのですが、日本には深い関心を抱いています。2020年に日本で発表するための素晴らしいプロジェクトを進めていましたが、残念ながら COVID-19 の影響でコミッショナーにキャンセルされてしまいました。それでもいつか日本を訪れ、その国にある独特の自然や花々を見てみたい。なぜかわかりませんが、何年も前から日本への関心を抱き続け、訪日の機会は常にあるのに、それが叶わないので本当に不思議です。