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DR.ME
プロジェクトにあたる際は何から始めますか。そして、実際の制作過程で迷いや困難と直面した時はどのように乗り越えていますか。
DRまずは、音楽アーティスト、文化施設、ワインショップ、スポーツウェアブランドなどのクライアントやコラボレーターと共に、彼らの作りたい世界観について話し合うことから始め、彼らがどのような方向性を望んでいるのかを判断する。それから、選定した方向性をもとに Slack や WhatsApp を介して 2 人でアイデアを出し合い、それぞれにヴィジュアルやコンセプトを作成し、先方に提示する。そして、その中から相手が最適だと判断したアイデアの発案者(僕またはEddy)がリードして、キャンペーンやプロジェクトの管理、クリエイティヴディレクション、デザインを進めていく。途中でお互いにフィードバックを求めたり、必要に応じてそれをインプットしたり。これが僕らの一般的なプロセス。常に隣に座って一緒に作業するよりも効率的だし、こうすることで僕らのような小規模なスタジオでも複数のプロジェクトを同時に管理することもできる。問題が発生したとしても、お互いがいるから一人で課題を抱え込むこともないんだ。
MEクライアントベースのプロジェクトの場合は、 Zoom でも直接でも、必ず相手と顔を合わせて話をするようにしている。実際に会って話をすることで、彼らの人柄を知ることができるし、それはどんなプロジェクトにおいても重視していることだよ。
2020年にはスタジオの10年間を記録したモノグラフ『Not Dead or Famous Enough Yet』を自らの出版部門である Waiting Room Press からリリースしています。自分たちの作品や活動を自ら集約したことで、自身の変遷をどのように捉えましたか。また、そこで見いだした次なる課題はありましたか?
DR僕らは毎年「目標リスト」を作成していて、年末には達成項目を振り返っていた。「 DR.ME の本を作る」とリストに挙げたのは、スタジオを始めて確か 1 年目か 2 年目。






そして、それから10年経った頃、パンデミックの影響で例年よりも少し時間に余裕があることに気づき、その目標を叶えることにしたんだ。僕らが構築してきたこのスタジオの10年間を初めてひとつにまとめ、印刷物という形にする行為は、まるでクローゼットを整理する感覚だった。一旦白紙に戻して「さあ、次はどうするんだ」といった感じで、スタジオを前進させ、さらに良い作品を作っていこうという意欲がむしろ強くなった。ちなみに、2014年のリストには「日本で展覧会を開催する」という項目があって、今回のインタビューはそれに近いものを感じているよ。
MEイギリスの最初のロックダウンの真っ最中で、仕事量も少なかったから、この本を作るにはいいタイミングだったんだ。とはいえ、結構大変な作業で、主に精神的なものだけど、時にはスタジオの年月を考古学的に掘り起こすなんて物理的な苦労もあったよ。