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Thomas Subreville / Ill-Studio





物質的な  “本”  という形にしたことには何か理由があるのですか?
実質的なプロジェクトだからこそ、これを表現するには、手で触れられる、具体的なものにするのが最適だと思ったんだ。デジタルだけなら誰でもできるし、インスピレーションを得るだけのウェブサイトはすでにたくさんあるしね。それに、ウェブサイトには終わりがない。だけど、本は違う。本には始まりと終わりがあって、制作には予算がかかるし、ページ数やフォーマットを決める必要もある。つまり、本にすることで、このプロジェクト全体に枠組みが設けられるんだ。本を作った理由は他にもあるけど、僕らにとってこれはただの本ではなく、名刺のようなもので、人と繋がる手段でもある。本にしたからこそ生まれる会話や繋がりがあって、そうでなければ、このプロジェクトは全く異なるものになっていたんじゃないかな。
では、この『THE A.D.D.P.M.P.』と、もうひとつのプロジェクト『General Index』の関連性を教えてください。
似たようなプロジェクトだから、少しややこしいよね。『General Index』は2019年頃に始めたプロジェクトで、僕らが作品に利用する全てのソースやインスピレーションのショーケースであり、百科事典の目次である『General Index』という名前のとおり、見るもの、聞くもの、読むもの、食べるものなど、全てをリサーチして包括的かつ主観的にまとめたプラットフォームなんだ。当初のきっかけは、ミラノの Slam Jam から一緒に何かやろうと声をかけてもらったことで、だったらカプセルコレクションとかじゃなくて、リサーチというアイデアに基づいたプロジェクトをやろうと、『General Index』として彼らとのコラボレーションが実現した。だけど、最近では『THE A.D.D.P.M.P.』のほうが活発になっていて、僕も混乱するほど両者は溶け込んでいる。だけど、どちらにせよ Ill-Studio としてのプロジェクトに変わりはないから、ラベルや名前にこだわる必要はないんだ。