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オンラインではなく物質的な本を作ろうという考えは、純粋な虚栄心かもしれないね。僕らはコレクションすることが好きだし、こうしたアーチファクトを作りだす手段やリソースを持っている。であれば、やったほうがいい。それに、NFT が登場して、みんながデジタルコンテンツを所有するようになった時期だったから、その反動で物質的な製品を復活させようとしたのかもしれない。だけど、『FIN?』はその真逆で、『FIN?』を始めた2017年にはまだデジタルアートを所有したり売買するという発想が一般的ではなかった。つまり、常に潮流に逆らって浮遊しようとする姿勢が、僕らのクリエイティヴな選択の背景にあるってことだね。
ME僕らは当初から、 Zine やプリント、グッズといった物質的でインディペンデントな DIY をかなり楽しんできたと思う。自分たちの作った本や Zine を誰かの本棚やギャラリーのブックショップで見つけたりすると、すごく嬉しくなるしね。出版物のファンとして、世界に何かを発信したいと思ったのは自然なこと。それに、人々がオンラインで過ごす時間が増えれば、デジタルによるもの作りも普及していくだろうから、みんながそこから避難できるものを作ることは重要だと思う。さらに言うと、出版物を作ることは僕らの心の出口を設けることでもあるんだ。
前述の『FIN?』にはボツになった作品や未公開作品が掲載され、毎月最終金曜に配信されていました。このプロジェクト始動の意図を教えてください。そして、このプロジェクトは今後も継続する予定ですか。また、現在ホームページで展開している「SOOT」との関連性は?
DRいろいろなプロジェクトを手がけるうちに、たくさん作ったのに採用されなかったものや、思うように作れなかったコラージュが増えてきて、引き出しやハードディスクにそうした忘れられた作品や画像が溜まっていた。そこで、失敗作や駄作とされるものを、本にするのと同じように讃えてあげようという発想から『FIN?』を始めたんだ。