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Tomoo Gokita





それほどのサクセスストーリーの最中に、「慎重に」と自分を諭したところで冷静でいられるものですか?
いられないっすね。周りからはよく「ごきちゃんは本当にうまいことアーティストになったよね」とか言われますけど、本当に流されるまま来ただけなんで。海外で個展をいくつかやって、タカ・イシイでやって、Mary Boone でもやって、「これ以上何か起きたら俺は壊れちゃうよ」と思っていたら、今度は川村美術館からオファーが来て。でも、あそこは広いし「美術館で個展は無理です」と最初は断りました。そうしたら「過去の作品も集めたらできるじゃないですか」と説得されて。
2014年の個展「THE GREAT CIRCUS」ですね。自分の作品が一堂に会した展示を見た時はやっぱり感動しましたか?
達成感はありましたけど、感動はなかったですね。「もう何を言われてもいいです!」ってくらい精一杯やりましたけど、自分としては全く納得いっていなかった。「もっといい絵を描けたのに」って。だけど、そういう心残りみたいなものを抱いてしまうのは、ほぼ毎度のことなんです。







 ちなみにこのビールコップもその個展の時にグッズとして作ったもので、すごく気に入っているんです。「ゴキタビール」のフォントも実は手描き。アサヒとかキリンとか昭和初期のフォントを参考にして、デザインも当時の手法を真似て、定規を使ってでっかく描いたものを、このサイズに縮小したんです。最初は「居酒屋じゃないんだから」って感じで美術館側に不評でしたけど、結局初日に完売して追加生産しようってことに。