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今しがた触れた HKW を始め、NODE のクライアントには芸術機関や文化機関が多く、長きに渡って仕事をしているケースも多いです。クライアントとの信頼関係を築くために心掛けていることはありますか?
信頼は、僕らのたゆまぬ努力と確実性によって確立されるものだと思います。クライアントや案件さえ面白ければ、僕らはプロジェクトに多大なエネルギーを注ぐことを惜しみません。
クライアントは NODE に何を期待して、もしくは、どこに惹かれて仕事を依頼するのだと思いますか?
クライアントは通常、彼らのコンテンツを心躍るようなものに翻訳してほしいと期待するものです。加えて、有用性と明確さも求めている。けれど、その純粋なサービス要求を優先してしまうと、僕らにとっての面白味は薄れてしまう。協力というのは、実現したプロジェクトを通じた提言や配慮によって生まれるのだと思います。
スタジオ創設からもうすぐ20年ですが、当初から変わらないフィロソフィを教えてください。
ルーティンに陥らないことです。
作品を振り返って、これまでの変遷をどう捉えることができますか?
少なくともデザイナーとしてのアプローチはさほど変わっていないように思います。僕らは孤高の戦士として強く育てられましたが、時が経つにつれて、チームで働くことが快適になってきました。また、学生との交流など、教えることを通じてより注意深く敏感になったかもしれません。そしてこの数年、僕は他の人々から多くのことを学びました。例えば Anders は、クライアントとのコミュニケーションや経済的な側面など、あらゆる点ではるかに経験豊富で、そうした彼の経験は初心者である僕にとっては特に貴重だし、デザイナーとしての仕事にも影響を与えています。
スタジオとして、デザイナーとして、これまでに直面した最も困難な試練や挑戦は何でしたか?
スタジオが大きくなるにつれて責任も変化し、今はコミュニケーションやミーティング、プロジェクトの整頓作業に多くの時間を費やしています。最大の課題は、これらのあらゆる職務のバランスを見いだすこと。そして、自分はいかに、どういう形で進めていきたいのかを定期的に自問することですね。
では、グラフィックデザイナーとしての考え方で一番変化した点は?
まだ歴史の浅いデザインという分野は、絶えず自己改革が続いているのだと理解することが重要だと思います。僕らがこの仕事を始めてから、要望、ツール、課題は常に変化し、進化してきました。2000年前後は作家性のあるデザインが中心で、個人に焦点が当てられていましたが、現在では、政治的にも社会的にも責任あるデザインや、多様性、そして専門領域を越えたコラボレーションが重視されています。さらに幸いにも、この分野での西洋的もしくはヨーロッパ中心的な観点が今では疑問視されるようになりました。これらに対応して、自らの視点を再定義すべきですね。
あなたの言うとおり、グラフィックデザイナーに求められるものもまた時代と共に変化しています。現在、デザイナーが担うべき役割について見解を聞かせてください。
若いデザイナーは境域を超えて、デザインという学問や教育に疑問を抱き、再考を試みるべきです。寛容性や尊厳、そして共有する能力は、今日では不可欠なもの。僕らは自らの政治的かつ社会的機会を利用して世界に疑問を投げかけるべきであり、それが最高のシナリオとなるはずです。