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DJ Kensei



話を伺っていると、 DJ も制作もかなり感覚を大事にしていますね。
そう、かなり前のある時期から感覚重視に。コロナ禍もひとつのタイミングでもあるかな。きっちりシークエンスされているものよりも有機的なグルーヴに体が反応するようになっている。「毎日聴いても表情が変わるような景色ってどう作るのか」って考えると、なんとなく感覚で重ねて置いていって、音像で辻褄を合わせるみたいな作り方になっているかも。庭師的な。スペースを意識すると感覚が大切なんです。 Mix でもエレクトリックな音源でもなるべくグルーヴは有機的な印象に作りたいな。
当初のシーンとはかけ離れた場所に到達している印象がありましたが、自分の素の感覚をそのまま受け入れて、正直に応じてきて今に至るのですね。
DJ を通じて得たいろんな縁のおかげで音楽やそれにまつわる環境で続ける道を見いだせているのだと思います。都会のクラブで音楽をかけることにも確かに需要があって、それは今でも自分の役割の一部としての循環はあります。それとは全く別の、時空をも捉えている世界が本来の自分の姿だということもすごく感じるようになった。その自分は DJ を始めた頃のように気持ちが安定していたり、自然な感覚で成立している自分らしい世界になっていっている気がする。でも、  “突き詰めている”  って感じは全くなくて、  “流れに身を任せて今を感じている”  っていう感じです。
今後もその感じで変化していくのでしょうか。
ずっと変わっていくんじゃないですか。Terry Riley さんのライヴに行った時、彼は85歳で日本に移り住んでいるんだけど、今後のことを聞かれて「毎日変化しているので、この先がどうなるかなんてわからない。でも、だからこそ、ここまで生きてこられたのかもしれません」って話していて。85歳ではないけど自分も似たような認識があって、子供の頃からその時の今に集中してきたから、あまり未来のことを考え過ぎて生きてこなかった。それに、いくら考えたとしても、実際に経験して実感を経て本質を知ることができなければ、何事も本当には楽しめないですから。