多くの仕事を重ねてきた中で、これまでに生じた最大の疑問と見いだした最大の発見を教えてください。
DR僕らが常に直面している最大の疑問は「僕らは正しいことをしているのだろうか」「デザイン事務所に就職して地位を築くという一般的な道を選ぶべきだったのか」ということ。そのほうが経済的に安定しただろうけど、10年も経てばそうした同業者の多くは飽き飽きして、大半の人が自分のスタジオを設立する。つまり、僕らは早い段階でそれを実行し、だからこそより良い結果を得ることができたのだと思う。そうは言っても、僕らが抱く最大の課題は「No」と言えるようになること。忙しいのは嫌いじゃないけど、 2 人だけでプロジェクトの期限や規模を管理するのは、そろそろ物理的に辛くなってきた。だからこそ、僕らは今、スタジオをもう少し開放して、グラフィックデザイナーだけでなくクリエイティヴディレクターとしての役割も担い、専門的なアーティストたちと組むようにしているんだ。
ME自分の道は自分で選べるのだという実感があるし、今でも時々それを自覚させられるよ。
最近見たり聴いたりした作品で心が震えてものを教えてください。
DR 3 歳の息子は最近『Peanut Butter Jelly Time』の10時間ループを見つけて、車に乗るとそれを再生してほしいとしきりにせがんでくるよ。この作品は、僕の動機を最もよく表していると思う。それは、懐かしさだったり、微笑ましさだったり、面白さであったり、そうした純粋な喜びを僕らの作品から感じてもらうということ。息子はこの曲の「It’s Peanut Butter Jelly Time」という最初のリリックが聴こえてくるたびにそんな喜びを感じているし、僕もそうした作品を作りたいと思っているんだ。
ME僕の場合は、60年代のベネディクト修道士で、コンクリートポエトリー(具象詩)の詩人でもある Dom Sylvester Houdeard の作品だね。その詩は驚くほど遊び心があって、僕をコンクリートポエトリーの世界に導いてくれた。それに、「タイポグラフィック僧侶」という響きに惹かれない人はいないだろ?!
最後に、将来に向けて抱いているヴィジョンを教えてください。
DRすぐそこにある新しい技術を取り入れ、今まで慣れ親しんできたソフトウェアやペンといったツールを使うのと同じように、恐れることなく使いこなしていきたい。その可能性には正直興奮させられるよ。あと、個人的には、未達成の目標をリストアップして、それを Eddy と一緒に 1 年ごとに達成していきたいね。
ME親友である Ryan と共にこの素晴らしいキャリアを今後も築きながら、いい意識でコラボレーションを続け、誇れるような作品を作っていきたい。そして、いつか創作のために日本を訪ねたいと思っているよ。