Nigh

Other Daily Articles




















Updata: 2nd April 2021

Interview with

Hiroyuki Ueyama
semoh


 このブランドのデザイナーである上山浩征とは以前からの顔見知りだが、ふわりとした雰囲気を持つ穏やかな印象の人物で、こんなにも深く考えを巡らせているとは知らなかった。考え込んでしまうのは生来の性格らしいが、考えすぎて陰鬱になる時期は過ぎ去り、今はポジティヴな方向へ考えるようになったそうだ。Homes を逆さに書いて「semoh。洋服からだけでは汲み取りづらいブランドの概念やシーズン毎のテーマ、さらに、多くのアーティストと取り組んできたコラボレーションの意義について話を聞いた。
























 







Online Interview with Hiroyuki Ueyama, Feb. 10, 2021
 




他の媒体で「家での解放感と外での緊張感の調和」がブランドのテーマだと拝見しましたが、semohでは具体的にどのあたりのバランスを目指しているのですか?
このテーマを思ったのは semoh 立ち上げ前の2011年頃のことです。これは端的にパジャマで外に出ることやお出かけ用の衣服を着て家で寝るということではなく、その切り替え軸をどこに置くかという共通概念の再確認になります。それは洋服という物理的なものと社会性という精神的なものの確認です。
家の内と外の切り替え軸は個人それぞれで少しずつ異なると思うのですが、ここで言う「共通概念」とは?
ビジネスマンであればスーツを着て会社へ行く、日本人であれば玄関で靴を脱ぐなど、個々の微差はあっても基本的な様式はある程度決まっています。でも今後はそれが多様化していくと感じていて、そうした中で semoh では家用の服やお出かけ用の服といった定義を解放させ、どちらでも対応できる服を通じてその軸を問いかけています。ブランド創設以前からその考えがあったので、当初はシャツから作り始めました。シャツであればミーティングであったり目上の方やお客様と会う時でも社会的に許容される、また、これは洋服の歴史的な話ですがシャツはパジャマを起源とする側面も持っているので、家の中と外の中間地点として提案するにはシャツが適していると考えたからです。
21SS のシーズンテーマはどのような内容ですか?
テーマとしては前述の基本コンセプトがベースにはなりますが、半年ごとに裏テーマのようなものは設けています。21SSに関しては、ポジティヴなエネルギーを持ちたいという思いと、また、偉大なる自然の中でどう社会生活として生きていくのかということ。このシーズンは変化を感じた時期で、コロナ渦ということも大きいのですが、そのこと自体というよりは、それによって浮き彫りになってくる変化の様という感じでしょうか。それを今までやってきたこととリンクさせて進化となればいいなという希望でもありました。











semoh SPRING SUMMER 2021
Photographer: Yudai Kusano
Hair: Daisuke Mukai
Makeup: Atsuko Ohtsu at B.I.G.S
Styling: Hideyuki Kanemitsu at CEKAI
Male Model: Gui Martinez
Female Model: Sharar Lazima at Amazone




このシーズンでコラボレーションの相手にHouxo Queを起用した理由は?
2011年頃に彼の作品を購入し、今も家で眺めていますが、それ以降の活動も拝見していて、彼の作品には常に「自然」と「人工物」の境界線を問われている気がしていました。そうしたことが前述の流れにぴったりだと考えたからです。彼の当時の作品と今の作品ではキャンバスも内容も違うけれど、本質は変わっていない。それに対して、彼のヴィジョンへの自分の理解は当時よりも確実に深まり、ようやく共鳴できる視点を得たと感じました。10年かかりましたが、それはまるでタイムカプセルを開けたような感覚ですね。






HOUXO QUE
Painted 2020, for semoh SPRING SUMMER 2021
©semoh All Rights Reserved.

semoh SPRING SUMMER 2021
Collaborated with Houxo Que





 semoh ではこれまでにも多くのアーティストとコラボレーションを行なっていますが、コラボレーションがブランドにもたらすものは何だと考えていますか?
エネルギーです。自分が抱く衣服という概念に対して新しいエネルギーをもたらしてくれる。単純に「パワー」と言ってもいいのかもしれませんが、「 ‘新しい’ エネルギー」と言ったほうが自分の感覚には近いですね。衣服というもの自体を新しいものにするためのコラボレーションであると思っているのは間違いありません。
では、そのエネルギーを求めてコラボレーションを行なっている?
それもありますが、そもそも「アートって何?」という思いがある。アート作品は買わない人や買えない人がいるし、作品を買うという発想がない人もいる。けれど、誰かの意思によって作られた作品をそのまま衣服にしてしまうことで、アート作品は買わないけれど洋服は買うという人が実はアートを買っている状態にしてしまう。強制的にアートを身近なものにしてしまう。それは自分の願望というか野心に近いものですね。だから、作品を提供していただくコラボレーションの際は、その作品をできるだけ純粋なまま自分の衣服の形状に閉じ込めるよう心がけています。
その場合はやはり自分が好きなアーティストに依頼するのですか?
もちろん自分の好きな作風や作品という前提はありますが、今の時代に対するジャーナリズムに近い感覚もあるように思います。
コラボレーションするアーティストは面識のある方が多い?
基本的には何かしら繋がりのある方ですね。というのも、前述のコラボレーションとは別の軸で、自分のアイデアをグラフィックや絵にしてもらうことも多く、そうなると意思の疎通のできる方にお願いすることになります。また、ルックブックやビデオの撮影を依頼する方に関しても同じことが言えます。どんな場合においても、まずは自分の考えるテーマやコンセプトをお話しさせていただいて、単刀直入になぜお願いしたいのかを直接伝えています。
シーズン毎にコレクションムービーを制作/公開していますが、その意図を教えてください。
意図としては細かくいろいろありますが、大きく挙げると 2 つ。まず、自分が映画や MV、スケートやサーフビデオなどの映像が好きで観て過ごした時間が長く、さらに、本や戯曲も好きだったので、自分の作りたい世界を表現するには映画的要素が理想的だと思えたからです。また、 YouTube のような映像メディアの普及と共に今後そういった映像が多くなるかと思ったのですが、制作が容易ではないこともあって、広告としての映像が一般的な前提になっています。それに対して自分は洋服を見せたい/売りたいというだけのものではない映像にしたかった。人々に観る時間を作ってもらうことで、洋服をもっと好きになってもらったり、誰かの主観で作られた服を身近に感じてもらえたり、そういうきっかけになればという希望が 2 つ目の意図に挙げられます。







semoh SPRING SUMMER 2020
Music: Naomi Paris Tokyo
Video: Kazune Umezu
Produced: Hiroyuki Ueyama


semoh SPRING SUMMER 2018
Starring: Lui Araki
Music: Naomi Paris Tokyo
Film and Edit: Hidenori Tanaka
Produced by Hiroyuki Ueyama


semoh FALL WINTER 2017
Starring: Ryuju Kobayashi at Dongyu, Hyunri at Hirata Office
Shot and Directed: Zoe Que
Guffer: Hitoshi Satou
Hair: Kazuki Fujiwara at Perle management
Makeup: Yumi Ono
Editor: Moa Strom
Music: Naomi Paris Tokyo





この 2 シーズンは映像を制作していないようですが、それはコロナの影響でしょうか?
コロナ渦で映像や映像 SNS が溢れている状況で、精魂込めて打ち出す意義が自分の中で薄まってしまったのかもしれません。次の表現方法、もしくは映像内での次の伝達方法を模索しているのだと思います。
今回のパンデミックによって人々の意識は変わりつつあると感じますが、人々がファッションに求めるものはどう変わっていくと思いますか?
意識が変わってもその使い方を知らなければ変わったことにはなりません。ファッションは文化的にも産業的にもとても大切なパートだと願っているので、リーダー的な方々がその使い方を広げてくださるのではないでしょうか。そして、皆がファッションに求めるものは、やはりポジティヴなエネルギーと嘘や無理のない、もしくは未来に夢のあるファッションなのではないかと思います。
その「使い方」とは意識の使い方ということですか?
これは自分にも常に言い聞かせていることなのですが、何かを得たとしてもそれを使えなければ実際に得たことにはならない。日本ではコロナ以前に大きな地震があって、それによる災害も原発事故もあった。食料やトイレットペーパーなどの買い占めも起きて、あの時に皆「これではだめだ」と実感したはずじゃないか、そんな気持ちが自分の根底にありました。意識が変わったその時に、次に同じようなことが起きた際にはどうすべきかをきちんと考えて対処法を得ておかなければ、その経験は意味のないものになってしまう。ここで言う「意識の使い方」とはそういう意味で、その使い方を知り得て実際に変化した人はその後の人生も変わっていくと思うし、それが進化ということだと思う。また、ファッションは時流と共に変化していくものなので、その変化を責めても何も好転しない。そこで自分の意識を変えていける方はそれをきちんと表明していくだろうし、特にファッションに関してはそういう願望を持っています。
そうした状況に対して semoh はどのように臨んでいきますか?
 semoh としては、コロナ以前以後のどちらがいいという考え方は持っていませんが、ファッションという世界に認知されるように、ブランドとして変わるものと変わらないもののミキシングの精度を上げて、自分の思う「リアルクローズ」の定義を進めていきたいです。









 最後に上山から預かった semoh の正式なブランドコンセプトを記しておく。このインタビューを読んだ後であれば、彼の言わんとすることに少しは近づくことができると思うからだ。











人が意思表示をしたり、
他人を認識する第一線は、
交わす言葉と纏った衣服であると考える。

様々な “表裏一体” の中で、
存在していくための調和とは。

私自身も含め、
多数の人が日常的に身につける衣服において、
在宅時のような解放感と外出時のような緊張感の調和を探したい。








semoh
デザイナー上山浩征により2012年春夏シーズンよりスタート。2014年秋冬にウィメンズラインを同 semoh 名義で展開する。上山は、生地や衣服にまつわる多様な職やフランスアンティークに精通する職を経ており、独自の審美眼と職務経験を活かした洋服背景の掘り下げ方による素材選びなどの制作過程から、袖を通した時に衣服がもたらす着用者の印象まで、ブランド設立から一貫したコンセプトのもと、ストーリーを意識しながら上質で独特なムードの衣服を提案している。
semohstore.byhiroyukiueyama.com/










All images © of their respective owners.