A Series as the Door:
Stephan Tillmans
Nigh Issue 9: Before Meaning
A
Series as the Door
一枚の絵ではなく、シリーズを通して見るからこそ、感じられる作家の気配がある。純粋な直感、身体の記憶、反復の中に現れる癖、思考の揺らぎ。意図しない何かが、輪郭を持たないまま、静かに滲んでいる。ここでは、ひとつのシリーズ作品を入り口に作家の内なる領域へと深く入り込んでいく。
A Series as the Door / Nigh Magazine
Luminant Point Arrays
『Luminant
Point Arrays』は、古いブラウン管テレビが電源を切られる“その瞬間”を捉えた写真シリーズです。画面に映っていた映像は崩れ、ただの“光”だけが残ります。つまり「テレビが何かを映していた」という意味は失われ、光そのものへと抽象化されるのです。それと同時に「これは何を映しているのか」という現実世界との繋がりも失われていきます。これらの写真はそれぞれ異なるテレビを撮影したものですが、シャッターを切るタイミングや露光時間、そして、撮影前にテレビがどれくらい点いていたかといった条件によって、映し出される光の表情は変化します。