| English | Japanese |
Radim Peško

「文字」はコミュニケーションという人間の営みの原点にあるツールであり、タイプフェイスはそこにニュアンスやトーンが備わった、つまり「声」と言えるだろう。普遍的な「文字」を造形するタイプデザインは当然、美しさやオリジナリティの主張だけでは成り立たず、合理性や判読性、整合性といった本質的な要素が求められる。Radim Peško は時代の気分を汲みつつ、そうした要素を無類のバランスで調和させている。ベーシックでありながら新しさが共存し、ユーモアも効いているが奇をてらいすぎてはいない。時に流暢に、時に誠実に、特には愛嬌を持って、彼のタイプフェイスは今という時代を映して語る「声」であり、その「声」は実に人間味があって文化的だ。あらゆる制約の中でいかに自由を見いだし、新たな発見や疑問に気づき、柔軟かつ有機的に事を進めることができるか、そうした彼の姿勢がその絶妙なさじ加減を叶えているのかもしれない。