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Radim Peško





Radim Peško
Interview (2021)
 




あなたのバックグラウンドから伺いたいのですが、若い頃はどんな音楽やカルチャーに関心がありましたか?
かなり多岐に渡ります。90年代は MTV を見て過ごしたのでグランジやヒップホップなどの音楽と、クラシック音楽も併せて聴いていました。また、サイレント映画を見始めてから映画も大好きになりました。
グラフィックデザイン、特にタイプデザインに関心を抱いたきっかけは何でしたか?
高校時代は生まれ育った街の隣にある小さな町のアートスクールに通っていて、多くの時間を図書館でアートブックや雑誌を見て過ごしました。図書館に座って山積みの本に向かうと、 1 冊の本が次の 1 冊、また次の 1 冊へと繋がり、思いがけない冒険へと連れ出してくれました。当時はあらゆることを見て学びたかったのですが、そのうちのひとつがグラフィックデザインでありタイポグラフィだったのです。タイプデザインに関心を持ったのは後になってからで、雑誌で目にしたタイプフェイスが手に入らなかったのでおのずと自分でデザインしはじめ、当初はベーシックなものを遊び感覚で作っていました。学校卒業後にまだ仕事の無いうちはタイプデザインに時間を費やし、いつかこれで何かができるだろうという期待を抱きながらタイプフェイスの開発を続けていました。
当時はグラフィックデザインやタイポグラフィの何に惹かれたのでしょうか?
意味があるかどうかはわかりませんが、昔からカバーが好きでした。レコードスリーヴやパッケージ、ステーショナリ、本など、タイポグラフィとイメージが施されたものに惹かれ、また、そうしたものは誰もが手に入れ、所有できるという点も好きでしたね。
あなたのデザイン感覚に影響を与えたデザイナーや作品を教えてください。
デザインを始めた当初は自分の居場所やアイデンティティを探し求めていたので、その頃影響を受けたデザイナーは挙げきれないほどです。けれど、デザイン作品というよりもデザイナー自身や彼らのアイデア、考え方、仕事に対する倫理観などに常に興味があって、馴染みのない人ほど強い興味を抱きました。
チェコ出身のあなただからこそ持つデザイナーとしての視点とはどのようなものですか?
小さな国なので情報を集めるには苦労せねばならず、自分で突き止めなければならなかったし、それには時間もかかりました。けれど、そうした環境だからこそ創意工夫が育まれたとも言えます。また、共産主義体制から資本主義体制への変化は、文化の変革という点で最も大きな経験となり、より幅広くて完全な観点を与えてくれたように感じます。それを言葉で表すのは難しいですね。
あなたが惹かれるデザインに共通する感覚や要素はどのようなものですか?
当たり前ではないもの、けれど、理解しやすいものに惹かれます。
なるほど。では、あなたが思う素晴らしいタイポグラフィに欠かせない要素は他にありますか?
一貫性です。
制作の始点となるアイデアはどのように生まれますか?
大抵は抽象的なイメージから始まり、それをタイポグラフィ的な形に変換しようと試みます。それを実現するために僕は通常、プロセスの探索に役立つ仕掛けや障害をあえて設置しています。そうすることで必要な決断に迫られるからです。限界があるからこそ自由が生まれるのだと思うのです。