Martine Syms




Martine Syms


今回のことで私たちの仕事やクリエイティヴィティとの関係性は大きく変わり、さらに、相対的にそれとどう馴染んでいくのか、また、最も重要なこととして、アーティストにとってサステイナブルとは何であるのか、そうしたことが今まさに変化しているのだと思います。







Martine Syms
Interview (2020)



コロナによる自粛期間中はどのように過ごしていましたか?
展覧会や撮影の予定が詰まっていたので、当初はそれらに向けて作業に没頭していて、 1 日中スタジオにこもる日が続きました。それから、たくさんランニングをして、深い瞑想もして、ギターを弾いたり、絵を描いたり、時間をかけて料理をしたり。そうしているうちにようやく被害の全貌を実感できるようになって、私の中で何かが変わり始めました。そして、ペースを落とさざるを得なくなった頃からは執筆に励むようになりました。執筆は私にとって重要な作業ですが、今年(2020年)の初めの頃は忙殺されていたので、そのタイミングで本腰を入れて取り組み始めたのです。また、ロンドンでかなりの時間を過ごして、そこでいくつかのプロジェクトに取り組み、自然を感じたり、Podcast を録音したり、本を読んだりしていました。私は結構な読書家なので本は常に読んでいますね。
その時期に読んでいた本を教えてください。
最初の頃は友人が貸してくれた Kathy Acker と McKenzie Wark の『I’m very into you: Correspondences』を読んでいました。Acker と Wark の関係が浸透していく様子や個人や理論を脱した議論が美しくてとても気に入り、通信(Correspondences)にはまってしまいました(Eve Kosofsky Sedgwick の『A Dialogue on Love』もお気に入りの 1 冊です。Ariana Reines の『A Sand Book』や Cameron Awkward Rich の『Sympathetic Little Monster』など詩集もたくさん読みました。当時は散文のほうが心に吸収されやすかったのです。また、『A Little Life』(Hanya Yanagihara 著)は毎晩夜中の 3 時まで読んでいたほど夢中になりました。Derek Jarman によるジャーナル『Modern Nature』はオンオフを繰り返しながら長い時間をかけて読んでいて(彼の作品が大好きで、今年は何冊かのジャーナルや日記タイプの著書を読みました、ロンドン滞在中に彼の古いカントリーハウスを訪ねる直前に読み終えました。最近では珍しくなったシンクロニシティ(意味のある偶然の一致)のようで、すごく特別なものを感じました。






Positive Messages」について PAM から声を掛けられた際の率直な感想は?
PAM のコミュニティやアーティスト間の対話に交わることができてとても嬉しかったし、スタジオで必要とされる “共有する感覚” を思い出させてくれました。プレイリストや映画、ミームなど、この惨状を乗り切るためのあらゆるものを共有している「Officepool」というテキストスレッドがあるのですが、「Positive Messages」からも近い脈絡を感じました。それに実際、自分のプレイリストをシェアしたいという強い気持ちがあったのです。このプレイリストは深い瞑想の時期に作ったので自分の調子も良くて、無意識のうちに 4 時間20分に及ぶ69曲ものプレイリストを作っていました。