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Derek Holzer





過去を知ることで得るものは多いと思いますが、この研究や考察を始めた当初あなたが求めていたものは何でしたか。そして、このリサーチから得た個人的な解釈と結論は?
当初は、主に古い電子楽器がどのように作られているのかを理解するためにそれらを考察していました。1960年代に作られたオーディオ用の電子機器は、ギガヘルツ帯の周波数に対応した現代の電子機器よりもはるかにシンプルなので、楽器制作の基礎知識を得るには格好の手段だと考えたのです。やがて私はそれらの楽器が「どう作られたか」だけにとどまらず、「なぜ作られたか」ということにも興味を抱くようになりました。工学的な側面だけでなく文化的な側面にも着目し、他の時代の最先端技術が人々に何をもたらしたのかを知ることで、私たちが自分たちの時代の技術にどのようなユートピアを投影しているかを理解できるからです。
電子楽器制作を続けてきたあなたが、オーディオヴィジュアルにも関心を寄せるようになった理由は何だったのですか?
実はかなり以前からオーディオヴィジュアルの構成には取り組んでいました。2003年に始めた初期のパフォーマンスでは、フィールドレコーディングをライヴで加工し、オランダ人アーティストが同じ場所で見つけたオブジェや映像をライヴ加工した作品と共に上演しました。また、ほとんどの人が見たことのない楽器を演奏するという視覚的な繋がりもあるので、そのプロセスをオープンにして、理解しやすいパフォーマンスを作ろうと試みています。
 そして数年前からは TONEWHEELS プロジェクトで、オーバーヘッドプロジェクタに光学式サウンドセンサーを搭載して上演しています。これは、映画の歴史とモーションピクチャーフィルム上の光学式サウンドトラックから生まれたアイデアで、20世紀初頭には多くのアーティスト(特に旧ソビエト連邦、また、カナダの Norman McLaren やイギリスの Daphne Oram など)がこの手法を実践していました。具体的には、抽象的な形を直接描いたり写したりしたフィルムストックを、映写機にかけるか CRT で光学的スキャンをすることで合成音を作るというものです。



TONEWHEELS Macro-video recorded by Jérôme Fino/Eyes_For_Ears at Styx Project Space Berlin, Nov 2008. Eyes_For_Ears released a high-contrast, black and white version this video on his own Vimeo page (vimeo.com/jrm).

TONEWHEELS is an experiment in converting graphical imagery to sound, inspired by some of the pioneering 20th Century electronic music inventions. Transparent tonewheels with repeating patterns are spun over light-sensitive electronic circuitry to produce sound and light pulsations and textures. This all-analog set is performed entirely live without the use of computers, using only overhead projectors as light source, performance interface and audience display. In this way, TONEWHEELS aims to open up the "black box" of electronic music and video by exposing the working processes of the performance for the audience to see.

Derek Holzer: sounds, electronics umatic.nl/tonewheels.html



Figure III
Derek Holzer, Tonewheels system, 2010.
Quoted from Vector Synthesis: A Media Archaeology of Sound-Modulated Light (Page 36) by Derek Holzer



 つまり、オシロスコープやレーザーを用いた私の作品は、同じシグナルや情報をさまざまな出力メディアやデバイスで表現する方法についての、かなり長いプロセスの延長線上にあるものなのです。