言及のあった Jan Jelinek とのコラボレーションプロジェクトである Beispiel としての 1st アルバム『Muster』について伺います。Jelinek とは2016年から不定期にセッションを始めたそうですが、具体的にどのようなセッティングや雰囲気でセッションを行なっていたのですか。また、録音後のプロセスはかなり限られた作業だったそうですが、そこでは何を重視しましたか？
Jan とは何年も前からの知り合いで、音楽の好みも近いので、遊び感覚でセッションしてみようという話になったのです。 Jan のスタジオは私のアパートのすぐ近くにあって、そこで何度か会い、準備やリハーサルなどはせずに、リラックスした雰囲気でレコーディングを行ないました。私たちがそれぞれ使っていたのは、小さな Eurorack のシステムとオシレーター、フィルター、サンプリング、いくつかのエフェクトくらい。完全なる即興で、自由に流れるような、特別な意味を持たないエレクトロニックミュージックを作ることが我々のアイデアでした。ただシンプルに、それぞれのシステムの標準的なステレオアウトを使用して、各セッションから 4 つのレコーディングトラックが仕上がりました。それから各自で別々に編集しましたが、基本的にはカッティングとエコライザーを調整した程度。できるだけ手を加えずに、機械から出力されたままの音楽を残したかったからです。その後、アルバムとして完成させるために Jan がセレクションしました。