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Frank Bretschneider





あなたが惹かれる作品に共通する感覚や要素はどのようなものですか?
リズムに対する感性、ダイナミクスや激しさに対する理解、そして、ある種のエナジーでしょうか。R&B やジャズ、ソウルやファンク、ヒップホップ、ダブといったブラックミュージックにそれらの要素を見いだすことが多いですね。とはいえ、音楽的に必要なものだけを限定するという能力も、私を魅了する素質です。
デジタルテクノロジーの発展によって、誰もがそれなりの電子音楽を気軽に作れるようになりました。この状況に対する率直な見解を聞かせてください。
喜ばしいことです。駄作も多いでしょうが、膨大な数があって、幅も広い。でも、大抵は友人や仲間たちが「これを聴け」「あれを聴いたほうがいい」と勧めてくれるので、自ら新しい音楽を探ろうとはしません。あとは、出向いたコンサートで面白い作品に出会うこともあります。
これまでにさまざまな楽器やデバイスを用いてきたと思いますが、そうしたデバイスの構造や性質を理解してこそ得られるインスピレーションや表現の可能性があれば教えてください。
テープやミキサー、シンプルなドラムマシンなど、長年使ってきた楽器やデバイスのどれをとっても、それらの機能を理解することはインスピレーションの源になっています。けれどもちろん、LogicLive のような非常に複雑なソフトウェアもあって、さらに Clavia Nord Modular などのデバイスもあります。それらへの理解を深めることで得たインスピレーションは計り知れず、それだけで数枚のアルバムを制作したほどです。
エレクトロニックミュージックはデジタルなものですが、ある種の有機性を感じることがあります。これについて意見を聞かせてください。
まず思うのは、エレクトロニックミュージックは必ずしもデジタルミュージックではない、ということです。エレクトロニックミュージックはアナログから始まりましたし、今もある程度はアナログです。そして次に、その発端がアナログであろうとデジタルであろうと、クオリティとしての「オーガニック」という言葉は、リスナーによって大きく異なると思うのです。その感覚を生みだし、伝えるのは、やはり音楽家の技術や創意工夫、そして経験によるところが大きいのではないでしょうか。
Conrad Schnitzler の膨大なアーカイヴ音源を解体し、再構築して作られた『Con-Struct』について伺います。 Schnitzler の音源と向き合う中で、彼のサウンドに対する姿勢への理解が深まったと思うのですが、最も深く共感した部分はどこですか。また、この制作における最大の課題と挑戦は何でしたか?
正直に言うと、 Conrad Schnitzler のサウンドに共感したことはありません。とても荒々しくて機械的で、アナーキーだと常に感じていました。だから、どうすれば彼のサウンドを自分の作曲に取り入れることができるのか、それが課題であり、挑戦でもあったのです。
 そこで私は Schnitzler のアーカイヴから音のパレットを選出し、サンプラー、シーケンサー、フィルター、エフェクトを備えたモジュラーシステムで作業することにしました。この『Con-Struct』は成功したとは言い難いですが、それでも、いい瞬間がいくつかあると思っています。