海外での暮らしを通してスペインの文化やスペイン人としての感覚を改めて意識する機会もあると思いますが、いかがですか?
故郷を離れる時に自ら使命と課したのは、できるだけ広く旅をして、帰ってきた時に新鮮な視点で故郷を捉え、自分たちのルーツをより深く知ることだった。例えば、僕らスペイン人が抱く “sobremesa” (食後に食卓を囲んだままゆったり過ごす時間という意味のスペイン語)に対する愛情は、故郷を離れて初めてその大切さを実感することができたんだ。
ローマに移住してから初めてキャンバスに油絵を描き始めたとのことですが、技術の習得に苦労はなかったですか。そして、実際に筆で描くことで表現の幅にどんな変化がありましたか?
デジタルと伝統的な絵画には共通点があるとはいえ、それらは異なるメディアであり、対等に比較することはできないと思っている。油絵を始めた頃は技術的な問題にぶつかることもあったけど、幸いにも絵はうまくいった。要は、このメディアとその習性、特に化学反応に慣れることが必要だったんだ。でも正直なところ、長時間スクリーンを見続けていた目をようやく休ませることができた、それが最も大きな変化と言えるんじゃないかな。