コレクションのテーマを決めた後は、どのようなアプローチでそのテーマへの解釈を深め、服作りに落とし込んでいくのでしょうか?
僕の場合は洋服のデザインだけでなく、例えばルックブックはどのようなイメージで作るかなど、常にさまざまなレイヤーを考えている気がします。これまでも、コレクションのエッセンスを捉えてくれる Piczo や Bolade Banjo、Samuel Bradley といった素晴らしいフォトグラファーと取り組み、そこで僕らはヴィンテージの本やミュージシャンの写真、アルバムジャケットなど、音楽に関するあらゆる資料を参考にして、時代を超越した感覚を生み出してきました。僕はアメリカのワークウェアやイギリスのミリタリーなどいろいろな時代のヴィンテージウェアを集めているので、そうしたアーカイヴやあらゆる類いの本を眺めることがコレクションの着想源になることもあれば、音楽を演奏したり、音源やそのアルバムジャケットなどのアートワークからインスピレーションを得ることもあります。つまり、そうした全てのことがそれぞれのコレクションに相応しいフィーリングやヴィジョンを生みだすためのデザインプロセスなのです。
ショーやコレクション映像では多くのアーティストやミュージシャンを起用していますね。
ミュージシャンやアーティストの起用はとても重要です。「Red Clay」のショーでは Yussef Dayes、Shabaka Hutchings、Mansur Brown、Alfa Mist、James Messiah を起用して初めてのライヴパフォーマンスを行ないました。彼らは皆、ここロンドンを拠点に活動する素晴らしいミュージシャンで、このコラボレーションによって彼らの才能を称えて、ファッションと音楽をクロスオーバーさせ、しかもそれをオーセンティックなやり形で実践できたことは素晴らしかった。他のクリエイターと一緒に取り組むのは本当に楽しくて、彼らの姿勢から多くの刺激をもらい、彼らもまた僕の仕事から刺激を受け、相互作用が生まれます。全てのコレクションにライヴミュージックやパフォーマンスを取り入れることで、視覚的なショーの背景に音の壁が設けられるような感覚が生まれ、僕のクリエイティヴな世界においてはファッションと音楽が密接に繋がっているのだと改めて認識することができるのです。