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そういった環境への意識はいつ頃から芽生えてきたのでしょう?
いつ頃だろう。でも、自分で作れば作るほど疑問は湧いてくるよね。印刷方法だけでなく、いくつかの媒体を見るとグラフィックの利用方法に疑問を持つし。今までに増して表現者や技術者は方向への問題意識が重要になるだろうね。意味的な問題かな。つまり、こうした意識は僕の経年変化のひとつです。
展覧会を開催する意義のひとつに節目という意味合いはありますか?
あるかもしれませんが、ないかもしれない。最初の「NEWLINE」の展覧会が2004年だから、自分では早い段階で取り組んでいたと思う。その後、2005年、2007年、2010年と発表したけれど、その後の10年間はあまり機会に恵まれなかったのかもしれませんね。そういった気分ではなかったのもあるし。でも、まあ、縁なのかな (笑)。美術、音楽、映像や写真、書道など、あらゆる自立した表現を SNS 上で発表したり鑑賞することもできて、そうしたことも関係しているのかもしれないし。でも、また最近は新作の特性がリアルなものに近づいてきた、という感じかな。
最近のアートやデザインの傾向をどのように捉えていますか?
難しい質問ですね。僕自身はずっと同じようなスタイルだから。でも、人に理解してもらえるように世間的にはグラフィックデザイナーと言っているけど、また僕はアーティストと言う時もある。いずれにしても、売れること、人の役に立つこと、そうした定義は大切なのだとは思う。ただ僕自身はそういったことに希薄なところもある。時には「趣味でやっている」なんて乱暴に言ってしまうこともあるほど。つまり、傾向はわからないけど、売れるとか、役に立つとか、趣味とか、いろいろ感じとれるものを世界中のみんなが作っていて、良い未来の方向性を模索している。だから、良いも悪いもないのだと思う。
アートマーケットの動向を考慮して創作するアーティストも多いですよね。
それもアートだと思います。純粋にものを作るというのもアート。アートという言葉は広範囲すぎて、表現とも職業とも、感覚や価値観にも適用できるし、マーケットや業界を指すこともできる。デザインも同じだと思う。開発するのに費用が必要になる、反対にお金じゃないと言う人もいる。それも全て自由なんだと思います。
進行中のプロジェクトや今後の予定を教えてください。
さっきロゴの話で少し触れた Goliga という出版社からエディションを発表する予定です。本自体が作品のような作りで、 3 年前から取り組んでいるので今年こそはリリースできると思う。そして、これも先ほど触れたけど、立体に関する作品もいくつか進んでいて、なかでも古屋蔵人さんとのプロジェクトは楽しみだな。それから、ここ何年か一緒にやっている音楽家の坂東祐大さんと、音と視覚の共同作品を企画しています。どれもかなり前から進めている話で、形にするには時間がかかる。新作の個展も計画中です。