だいぶ昔のことだが、彼女が雑誌で連載するコラムを欠かさずに読んでいた時期がある。毎回 1 組の気鋭アーティストを紹介する月並みな企画だったと思うが、その人選に他には無い切り口を感じたし、独特な小気味好い文章が面白くて、毎月楽しみにしていた。それから10年以上経ち、今回の取材を前に渡米以降の彼女を知って、音楽やヴィーガン料理の分野で開花させた才能に感嘆させられた。 「Positive Messages」に寄せたクッキングショー『Grand Street Milki』だけを見ても、彼女の作る魅力的な料理と抜群のセンスを感じてもらえるはずだ。オンラインによるインタビューに SoHo の自宅から快く応じてくれた彼女は、羨ましいほどに自然体で、自身の活動だけでなく渡米の理由やパートナーの Brian Close のこと、さらには NY の現状に至るまで、とてもフランクに話してくれた。まだまだ話を聞いてみたい、正直そう思ったほどで、そんな魅力もまた彼女の才能のひとつなのかもしれない。