| English | Japanese |
Nigh Magazine
Issue 8

Afterwords





Issue 7 をリリースした直後の去年の夏は、パンデミックも明けて、良質な野外パーティの数々で心と体を解放しまくっていた。「どれだけ素の自分でいられるか」「正直な言葉だけで話せるか」と、ふと自問するようになったのはそのあたりからだ。一般的な社会人に比べて繕った社交の場面は少ない私だが、多くの人に混じって言葉を交わす時や仕事でかしこまった時などは、知らず知らずに愛想笑いを浮かべ、読めない空気を読み、しょうもない無駄話をひねり出していることもある。その時は良かれと思ってやっているのだろうが、小手先の無理をしたところで実際は何も良くはなっていない。そのことにやっと気がついた。

根が人見知りのせいか、沈黙をやたらと恐れ、無理して何か話そうとする癖がある。けれどそんなやりとりは気まずいだけで、大抵さほど深まりはしない。オブラートに包まれたままの自分では、相手の素顔になかなか出会うことはできない。正直な会話がお互いに心地いいはずで、特別な繋がりは素の自分を見せることから始まる。沈黙もひとつの会話なのだから、無理して話そうとしなくても、素直なタイミングで話したいことを正直な言葉で伝えればいい。それは会話に限らず感情や表現だって同じこと。

自分の未来を探っていた若い頃は「どういう自分でありたいか」「どんな自分になりたいか」を折りに触れ考えていた。でも思い返せばそれは「どう見られたいか」という自意識に少なからず関連していたのかもしれない。「この道を行く」と決めてからはその傾向は薄れていって、「自分はどう感じるか」が大切になった。特に作品や取材相手と向き合う時は余分な気遣いは端に置き、他者からの影響や世間の風潮といった人として受ける当然の作用にも一旦線引きをして、 1 対 1 の中で生まれるその場のムードと、「自分はそこで何を感じるか」に集中するようになった。そして今はそこに「どれだけ素の自分でいられるか」が加わったというわけだ。落ち着かない時ほど余計にそのことを意識する。

とはいえ過去に編集業を離れていた時期には、あらゆる感覚が鈍ってしまった。取材力や文章力だけでなく、感じることすらも下手になった。人間の感性や感覚は結構簡単に鈍るのだ。そのことを痛感して恐ろしくなった。自らで感じたいと欲する好奇心を軽視して、画面越しの加工された情報に埋もれ、聴く音楽も目にする映像も他人や AI 任せにしていては、必ず感性は濁り衰える。感受性や想像力は人間にとってかけがえのない天然の能力であるはずで、それは鈍化もするけれど、純化して育むこともできる。オブラートを取り去った生の自分で能動的に感じまくってさえいれば。だから読者の皆さんには、まずは今回の 4 組のアーティストの作品と言葉を純粋な感性でじっくりと堪能してみてほしい。

最後に、今回取材を受けてくれたアーティストの皆さんに心からの敬意と感謝を。






Nigh Magazine
森 なほこ








Credits


Nigh Magazine Issue 8:
Back to Our Raw  



Editor in Chief
Nahoko Mori

Art Direction and Design
Kamikene (Hatos, Normalization)

Brain Support
Takehito Nakatani (Somewhere in production)

Photograph (for DJ Kensei “Mujuryoku Session”)

Kosuke Okahara

Translation to English
Luke Baker
Lauren Blythe
Translation to Japanese:
Nahoko Mori

Special Thanks to
Yoshiaki Fujimori (GB Inc.)
Daisuke Maehara (tm_is_bf)

Platform:
Cargo Collective

Publisher:
Nigh Magazine




Contact
Nigh Magazine: contact@nigh.jp  ︎

All images are copyright to their respective owners.





You can now buy us some beer. 🍺🍺🍺
You can now buy us some beer. Click Here

It will be a source of energy to produce the next issue.
Thank you!




Issues

Nigh Issue 8
Back to Our Raw

August 2024

Interviews
DJ Kensei
Jen Everett
Carolina Moscoso
Koshiro Kihara

Read Interviews





Nigh Issue 7
Still something ahead

May 2023

Interviews
Derek Holzer
Mana Morimoto
DR.ME
Frank Bretschneider

Read Interviews




Nigh Issue 6
Build the Ambience

Nov. 2022

Interviews
Front de Cadeaux
ILL-STUDIO
MRR / Drumetrics
Ignasi Monreal

Read Interviews




Nigh Issue 5
Personal Perspective

June. 2022

Interviews
Takahiro Miyashita
Nicole McLaughlin
Manabu Deto / OGRE YOU ASSHOLE
Nicholas Daley

Read Interviews



Nigh Issue 4
Inner Resources: Graphic Design

Feb. 2022

Interviews
Hassan Rahim / 12:01AM
Hideki Inaba
Actual Source
Serge Rompza / NODE Berlin Oslo

Read Interviews




Nigh Issue 3
Things change (but not all)

Oct. 2021

Interviews
Susumu Mukai / Zongamin
Radim Peško
Kosuke Okahara
Madalyn Merkey
Hort / Eike König

Read Interviews




Nigh Issue 2
The Days till Now

June. 2021

Interviews
Stefano Pilati
K-Lone
Alexandra Kehayoglou
Piczo
Sarah Martinon

Read Interviews




Nigh Issue 1
The Dawn of a New Age
via Positive Messages

Feb. 2021

Interviews
P.A.M.
Kiki Kudo
Francesca Gavin
EYE
Martine Syms
Yoshirotten
Laima Leyton
Emma Kohlmann
Peter Sutherland

Read Interviews







and subscribe to our newsletter.